※このお話は少し性的な内容となっています。大したものじゃありませんがご注意を!



















 いやらしい水音が部屋に響く。英士とわたししかいないこの空間で、英士とわたしはとても口には出せないよう
なを行為をしてるんだ。そう考えると、体が更に火照る気がする。熱い、あつい。
 わたしの中に入っていた指を引き抜いて、「・・・いい?」と聞いて、わたしが頷いてから、英士は英士自身を
わたしの体内に挿れた。重い感覚。何度やっても慣れない。けれど、それと同時に快感の波が押し寄せてくるこ
とも、わたしはもう知ってしまっている。
「・・・っ英、士っ・・・・!」
「っ、なに、?」
「ちょ、もうちょっと・・・」
 英士はわたしにぎゅっと抱きつくと、耳元で「ごめん、余裕ない」と言って力を強めた。その声を聞いて、もうとっ
くに限界だったわたしも、もう一度超えてしまった。
 ああ、なんてこと。











「英士って、わたし以外の人ともこういうことしたことあるわけ?」
 今までわたしの頬とか髪をいじくっていた英士は動きを止めて、「なんで?」と聞き返してきた。
「いや、なんか手馴れてるなあ、と思ったから」
「・・・そんなこと考えながら、してるわけ?」
「・・・してる最中はそんなこと考える余裕ないけど」
 呟くと、英士は不機嫌になったように、「にはそう映ってるってことでしょ」と返した。
 ええ、そう映ってますとも。そう答えようかと思ったけど、更に不機嫌になられても困るから黙っておいた。






 5回。今までわたしと英士が身体を重ねた回数だ。
 数えてるなんて、ものすごく卑しい人間みたいだけど、わたしにとってそれほどこれは重要で。
 初めての時から、英士は手馴れていた。わたしはわけのわからないままだったけど、英士はそつなくこなした。






「言っておくけど、俺はが初めてだよ」
「・・・じゃあ、なんで最初からあんなに上手かったの・・・」
「それは、が感じやすいんじゃないの?」
「そ、そういうの抜きにして話してください!」





 それから、少しの沈黙。気まずい。思わず、目を伏せる。
 英士は、ずるい。 いつも1歩、2歩先を行く。その事実がわたしにどうしようもないフラストレーションを積み重
ねさせる。聡い英士はその事実にとっくに気付いているはずなのに、英士は知らん顔をする。
 わたしだって先に進みたい。一緒に進みたい。
 わからないかな、この気持ちを。





を目にすると、したいことが止まらなくなる」
 え?と英士の目を見ると、英士はずっと前からわたしの顔を見ていたみたいで、ばっちり目があった。
「したいことが止まらなくなって、それでする。抑えられない、情けないけどね。それで結果、も俺も気持ち
いいんなら、それでいいんじゃないの」
 言葉が、出なかった。






「じゃあ、今度はがしてくれればいいよ」
「な、なにを」
「なにって、言わせたいの」
「・・・結構です」
が思ってることとは、違うかもしれないよ」
「え、じゃあなに」
が俺を気持ちよくさせてくれればいいってことだけど」
「・・・(・・・)」






 いつもは冷静沈着、クールビューティーな英士だけど、性急に求める瞬間を、わたしは知ってる。わたしだけが
知っているという事実。それだけでいいのかもしれない。付き合うってそういうことなのかもしれない。誰も知らな
い英士をわたしだけが知っている。結人も英士の御母さんも誰も知らない。わたしだけ、という響きが、すごく
嬉しくてくすぐったい。思わず笑う。


 英士は大人びていて、わたしが追いつけないようなところへ行ってしまっても、きっと先で待っている。それが
わかってれば十分。思う存分甘えてやろうじゃないの。いまこの瞬間くらい。服を着てしまえば、わたしと英士は
そ知らぬ顔をする。それでも、こうやって好きでいれば。愛があれば。それでいいんじゃないの、と英士は言う。


 余裕な顔している英士のおでこにを軽く弾く。不満そうに英士は顔を歪めた。そんな顔だって、知っているのは
わたしだけなんだ。ざまあみろ!







/ぬるい。